クレオパトラが美しいわけ
中国唐代の王妃として君臨し、玄宗皇帝の寵愛を受け過ぎたあまり「安史の乱」を引き起こしたとされる楊貴妃、ギリシア神話に登場し、「トロイア戦争」の遠因になったとされるヘレネと並び世界三大美女(日本ではヘレネの代わりに小野小町)と称されるクレオパトラ(正式名称はクレオパトラ7世フィロバトル)。
「ナイルの戦い」や「アクティウム海戦」など生涯を通じ、身辺にいる男たちを争いに駆り立てた妖しいまでの美しさはこれまで小説や映画などで幾度となく描かれてきたが、クレオパトラの美しさを作り出していたのがビールであることはあまり知られていない。
映画などでは血の滴るようなワインを形のいい唇に流し込んでいるイメージが強いクレオパトラだが、生前の彼女は好んでビールを飲んでいたと伝えられているほか、美顔料としてもビールを使用していたとされている。
今これを目にしている読者の中には「ビールなんかで美容に効果があるわけ?」などといぶかる向きも少なくないだろうが、実はビールの原料となるホップには女性ホルモンが含まれており、美肌を促進するのはもちろん生理不順を解消するなどの効果も認められている。
古代エジプトやバビロニアでは美顔料としてだけでなく流行病の治療薬や予防薬としてビールが用いられていたほか、現在においても風邪をひいた際、ドイツではビールを湯煎で温め気抜けした物を飲むのが効果的とされ、紳士の国イギリスでもスタウト(黒ビール)に卵を混ぜたスタウトエッグが効くとされている。
そのような事実を知ってか知らずか、日本でも明治時代までビールは薬局で売られていたのである。
もちろん、ビールに前述したような効果があるからといって過度の深酒をすれば体調を壊しかねない。ひと昔前は「週に2日休肝日があれば大丈夫」などと言われてもいたが、現在の医学では、たまにしか飲酒しなくとも、その際の量が多ければ肝臓へのダメージは大きく、たとえ毎日飲酒していても適量であれば肝臓への負担は少ないというように酒の飲み方そのものに体調を崩す要因があるとされ、休肝日の必要性は薄れつつある。
要は自分に合った量を飲むことが肝要となるわけだが、果たしてその量とはどれぐらいなのだろうか。
適量について知ることは大切だが、体調を壊さない為にもその前にぜひとも知っておいてほしいのが、毎日飲酒しているとしても、一日最低12時間はアルコール分を抜く必要があるということ。そうすることで体内に残ったアルコール分が消費されるわけだが、逆に言えば一日12時間まではアルコール分が体内に残っていても大丈夫となる。その大丈夫な量だが、個人差はあるものの一般的にアルコールが消費される分量は体重70kgの人で1時間に7g、体重60kgの人なら5g、体重50kgの人は3・5gとされている。
もちろんクレオパトラのような絶世の美女と酒席を共にすれば適量など忘れてしまうのだろうが……。